当院での帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛の疼痛治療スケジュール
2025.Feb.15
帯状疱疹に罹ると大変な痛みが生じます。その痛みの管理は年齢、罹患部位、罹患後の時間経過によって方法が変わります。コロナ禍以降、多くの方から帯状疱疹罹患後の痛みの相談がありますので当院での治療スケジュールをご紹介いたします。参考にしていただけると幸いです。
1.帯状疱疹罹患後2週まで
いわゆる急性期の皮膚表面のヒリヒリする痛みの時期です。抗ウィルス薬(バラシクロビルやアメナリーフ)をしっかり飲んでウィルスの増殖を早期に抑え、NSAIDs(ロキソニン、ボルタレン)など炎症を抑える鎮痛薬に効果があります。夜間痛で睡眠が妨げられる場合は早期に神経障害性治療内服(リリカ、タリージェ)を追加内服することがあります。この時期の神経ブロックは一時的効果がありますが、残念ながらすぐに効果がきれることが多いです。50歳未満の方はほとんど2週以内で症状は軽快します。
2.帯状疱疹罹患後2週目以降~3か月まで
この時期になると神経障害性疼痛に変化してズキズキした深部の痛みの訴えにかわります。先ほどの神経障害性疼痛治療薬に加え神経ブロックが奏功します。
高齢者や血液凝固に問題があって神経ブロックができない場合は当院ではイオントフォレーシスという薬液を浸し電位をかける治療や点滴治療を施行しております。点滴には局所麻酔薬にアデノシンという鎮痛効果がある薬を併用しております。週1回ペースで30分程度の施行を繰り返します。また自宅では1日3~4回リドカイン軟膏の塗布をおすすめしております。
3.帯状疱疹後3か月以上経過
この時期まで痛みが持続してしまうと皮膚の感覚低下や、軽い触刺激で痛みが誘発されるといった痛みの記憶が残ってしまった中枢性感作と言われる病態になっております。
夜間の痛みで眼が覚めることはなくなりますが、日中、慢性痛を抱える状態になります。ほとんどの内服薬は効果が少なくなります。ただまだ一部の方はリドカイン軟膏やケタミン点滴、ケタミン含有イオントフォレーシスといった治療に効果があります。また海外では罹患後数年経過しても患部周囲にボツリヌス毒素(ボトックス)を皮下注射することで痛みの軽減があったとする報告もあります。このほかアロマ精油のなかで1,8シネオール含有が多いユーカリやバジルを含む成分は神経痛に効能があることが知られており当院でも希望の方にはご利用いただいています。